それでも僕は登壇を目指す

こんにちは!デザインエンジニアの藤井(touyou)です。
この記事はGoodpatch Advent Calendar 2025 2日目の記事になります。

さっそくですが、エンジニアのみなさんに質問です。
強いエンジニア」とはなんでしょうか?

さまざまな定義があるかと思います。いわゆる技術力がある、どこかの会社のCTOやエンジニアリングマネージャーをしている、などなど。
今回はそんな強いエンジニア、すなわち自分のエンジニアとしての目標にまつわるお話です。

エンジニアとして何を目指せば良いのか?

エンジニアとしてのキャリアは、さまざまなところでさまざまな人が語っていることかと思います。
ですがそもそも、何を目的として強いエンジニアを目指すのでしょうか?

わかりやすい指標で言えば給料があると思います。これを目指すのはとてもわかりやすいです。
マネージャー、技術顧問、CTO、自分につくタイトルの影響力・価値をあげることが、そのまま「上を目指すこと」につながります。

一方で、本当にそれだけが指標になるのか?とも思うのです。
ちょっと話を別の職業に置き換えてみましょう。

例えば野球選手にとっての大谷翔平。野球をプレイする人であれば、彼は多くの人の目標になるはずです。
では、人が大谷翔平を目指すとき、何にあこがれているのでしょうか?先ほど「わかりやすい指標として給料がある」と書きましたが、それに当てはめると憧れているのはお金、ということになってしまいます。何か違う気がしますよね。 大谷翔平に憧れているとき意識されているのは、おそらくその圧倒的な能力・マインド、そしてそれに付随する実績です。

話をエンジニアに戻してみても、こういう構造はあると思うのです。
もちろん世の中には「稼げるから」「リモートワークがしやすいから」と、とさまざまな理由でエンジニアになった人がいるかとは思いますが、エンジニアリングが好きで、プログラミングが好きで、コンピュータが好きでエンジニアになった人間にとっては、きっとそういうあこがれはあったと思うんです。

自分はその意味で、そういったあこがれに近づく・なっていく、というのがキャリアの軸でした。
AI時代、技術の民主化が進んでいますが、それでも「誰かにあこがれて、その背中を追いかける」という構造は変わっていません。

どうやって「あこがれ」になるのか?

ではどうやってそのあこがれになるのでしょうか?

もちろんその答えは単純で、能力を高め、実績を出すことです。

では、どうやってその実績を積み重ねれば良いでしょうか?
自分はプログラミングをはじめたての頃、とてもそれが分かりやすい世界にいました。競技プログラミングです。

競技プログラミングでは順位が直接実績であり、能力の指標でした。すごく分かりやすい世界ですね。

じゃあ職業エンジニアはどうでしょう?もちろんいろんな仕事をすれば実績もいずれできてきますし、それらは評価され給与に反映されていくでしょう。
場合によってはポジションにも反映されることもあります。

ですが、これって随分と分かりにくいですし、「プログラミングが得意」「アルゴリズムが書ける」といった、直感的にイメージするエンジニアの能力と少し離れている気がしませんか?
それもそのはず。職業エンジニアに必要なのは純粋な技術力ではなく、チームの一員としてプロダクトを成功に導く事に比重が置かれるわけです。
自分が新卒一年目の際にこの事実に近しい気づきを書いていましたが、この「プロダクト志向に比重が置かれる」という傾向は、生成AI時代になってより強くなってきました。

goodpatch-tech.hatenablog.com

もちろんこの方向性は社会人として正しいですし、会社からの評価という分かりやすい指標も紐づきます。
ですがやっぱり思うわけです。これって自分が目指したい理想像とはまた違うよねと。
じゃあ、こういったところで直接評価されない「技術力」の証明はどこでやればいいのでしょうか?

それが登壇だと、自分は思うのです。
登壇を目指して、登壇のために鍛錬を積み重ねる。それが自分なりのキャリアアップの姿です。

登壇の効用

ここまで登壇を、会社の中でのキャリアアップの正統経路と対立軸として話してきました。ですが登壇は決して会社への貢献と相容れないものではありません。
登壇にはさまざま効用があります。ひとつずつ見ていきましょう。

まず登壇を目指すことは、必然的に自身の成長に繋がります。
今年に入って多くの場所で、登壇のコツとしてひとつの分野を突き詰めるというのがあげられています。たとえばこちらとか。

techblog.lycorp.co.jp

これらは「なんでもかんでも強くなる必要はないんだよ」「登壇してる人も特別な人ってわけではないんだよ」みたいな文脈で語られることが多いですが、一方でもうひとつの捉え方ができると思うんです。
登壇で話せるぐらいひとつの分野を突き詰めたら立派な一人前だという捉え方です。

もちろんこういう捉え方をした時は、その内容も問われるわけですが、それはともかく自分で言語化し他人に伝えられるということは、それだけ自分の血肉になっているわけです。つまり、成長ですね。

これは個人軸での話ですが、相容れないものではないとさきほど書いた通り、会社軸でもメリットがあります。
それは、いい発表をしている個人が所属しているというイメージ付けです。もちろん会社に入る理由はさまざまにあると思いますが、「一緒に誰と働けるか?」というのはおそらく非常に強力なファクターのひとつです。

登壇で伝わる情報は、これまで軸として語ってきた技術力はもちろんながら、人柄も含まれます。
その会社に属する人の能力・人柄、さらには内容やそれらの情報から派生して会社のカルチャー感や働く時のイメージまで想起させることができるわけです。
個人でできる、これほど強力な広報手段が他にあるでしょうか?

ここまでの論はあくまで会社人としての話ですが、別にこれは個人開発者であっても当てはまることかなと思います。
このように三方よしな効果を得られるのが、登壇を目指すことというわけです。

具体的になにをすればいいのか?

実際自分は、そこまで登壇で実績を残せているわけではありません。むしろ最近は、学生時代に学生メンターとして担当していた子や後輩がいい登壇をしていて、いいなぁと思うわけですが…。
その前提はあるものの、登壇を目指すのにやるべき具体的なことを、個人の考えとしてまとめておきます。

まずなによりも、自分の技術力を高めることです。
そしてそれは先ほど書いたように、ある分野に特化すると効果が高いです。
ですが別にこれは「一番楽な道」というだけで、こだわる必要はないと思っています。
むしろ大事なのは自分が熱量を保てることだと思います。そしてその理由はなんでもよいです。単純にその分野が好きだから突き詰めるでも、仕事と深く関連していてそれを追究することが仕事の成果に繋がるからでもいいと思います。
とにかく熱量をもってなにかに取り組むこと、これが何よりも大事だと思っています。

続いて、発信をすることです。媒体はなんでもかまいません。
おそらくそのハードルが一番高いのがCfP*1のある登壇だと思うので、そうじゃないSNSでもブログでも、名乗るだけで出れる登壇でも、オープンソースのアプリケーションでもアプリそのものでもいいと思います。とにかく発信する。
そうすることで、いざ登壇するとなった時のアウトプットの練習にもなると思いますし、それが運良くイベントオーガナイザーな人たちの目につけば、もしかしたら逆に講演をしてほしいと向こうから頼まれるきっかけになるかもしれません。

これだけです。
とても基本的なことですし、登壇を抜きにしても大事なことだとは思いますが、登壇を一個の目標に置くことで、こういった活動にあらたなモチベーションをもたらすことができるのではないかと考えています。

ところで自分はどうなのか?

さて、ここまで長らく語ってきたわけですが、この考えの基本的なところは、なにもここ数ヶ月で考えていたことではありません。
実は自分は入社当時からずっと、会社で設定する目標のひとつに登壇を置いています。これは学生時代、try! Swiftにスカラシップ枠で何度も参加したり、Life is Tech !で内輪の勉強会に参加したり運営したりする中で、今回ほどの言語化はしてなかったものの、なんとなく今回書いたようなイメージが形成されていたからです。

ですがなかなかうまくいっていないというのも事実なのですが…。
とりあえず最後に、自分が提出してきたCfPおよび社内外問わずの登壇歴をまとめておこうと思います。

学生時代

学生時代はあまり研究という行為がはまらなかったので、登壇は一件のみでした。それがWISS 2019です。

レスポンシブWeb デザインのための画像形式及び制作用インターフェースという論文がロングティーザー枠で採択され、発表してきました。
お恥ずかしいですが、一応当時の動画がYouTubeにアップされています。

www.youtube.com

2021年

2021年はさっそく、まさかの外部登壇でした。学生のラストイヤーに友人に誘われ、そこから社会人になっても副業として続けていたオンライン劇場ZAのUXエンジニアとして、テクニカルマネージャーをしていた友人と共にAWS Dev Day Online Japanに登壇しました。

www.youtube.com

この年はまだ自分でCfPを出すということはしていませんでした。

2022年

2022年は会社のWWDC RecapイベントへのLT登壇をしています。
体裁としてApple Developer Programを契約している人しか聞けないイベントとなっていたため資料などはアップロードしていないのですが、以下のGitHubにある程度まとめてあるように、当時のWWDCの発表内容を活用してレシートの読み取りアプリを作ってみたLTをしました。

github.com

2023年

2023年は、同様にWWDC RecapイベントでLT登壇をしています。
今回の内容としては、Keyframe Animationの視覚化を試すようなものでした。試してみていたものはこちらです。

github.com

またこの年からiOSDCを対象にCfPを提出し始めます。この年は以下のプロポーザルを提出していました。

fortee.jp

プロポーザル、と表現しているように、こちらは通っていません。

またこちらは完全社内で出せるものはないのですが、以下のイベントのLT担当として呼ばれ、Apple Vision Proを構成するさまざまな要素が過去のApple製品や技術として伏線的に存在しているよね、というマニアックな考察を、ゲストで来ていただいてたAppleのエバンジェリストの方々の前で発表していました。

goodpatch.com

2024年

2024年からは少し毛色が変わり、社内のAIチームをサブプロジェクトとしてやっていたことから、AI関連の発表をするようにもなってきます。 そんな新年一発目、生成AI新年会で企業LTとして発表したのがこちらです。

speakerdeck.com

それまでの生成AIの経緯やプロダクト例を踏まえて、生成AI活用プロダクトが目指していってほしい方向性みたいなものを語りました。

プロポーザルとしては、変わらずiOSDCに提出していました。

fortee.jp fortee.jp

ただこちら、ちゃんと説明を読んでおらず、かたやFlutterの方は全く同名のプロポーザルをレギュラートークに対して出してレギュレーション違反になってしまい、もう一方は内容が決まっていない状態ということで、当然のごとく採択されませんでした。

他にはこの時から社内限定になったWWDC Recapイベントに恒例の参戦をしてMeshGradientの紹介LTもしています。
またv0勉強会ではエンジニア視点での考察を話したりしていました。

2025年

そして今年です。ようやく芽が出始めました。

相変わらずiOSDCはプロポーザルを落としているのですが...。

fortee.jp fortee.jp

その落としたプロポーザルの内容を、ちょうどよく開催が決まっていたextensionDC 2025で話してきたり、

goodpatch-tech.hatenablog.com

同時に出していたFlutterKaigi 2025のプロポーザルは無事に通り、Liquid Glassについて語ってきました。

goodpatch-tech.hatenablog.com

また今年から、ゆめみさんとの共催イベントというのを二度開催しており、うち初回のフロントエンド × AI - 品質と効率を高める生成AIの活用では、Sparkle Designの人間として発表してきました。

speakerdeck.com

そして年末、visionOS TCが初開催ということで、この勢いのまま...!とプロポーザルを出したのですが、こちらは残念ながら通りませんでした。

fortee.jp

今週末開催で、Life is Tech !時代の後輩がトップバッターとしてフィーチャーされているので、自分は観客としてその勇姿を見届けてこようと思います。

以上があらましです。

ちなみに自分は、以下の記事のサムネから分かるように生粋のtry! Swiftファンなので、当然のごとくプロポーザル的なものは出しているのですが、これに関しては他のイベントのforteeのように分かりやすいものがあるわけではないので、割愛させていただいています。

goodpatch-tech.hatenablog.com

ただ、try! Swiftで話すことも夢であることには変わりないので、もしこの記事をここまで読んでいただいて、「こいつの話聞いてみたいな!」と思った方は、よければ以下のフォームで推薦いただけるととても嬉しいです笑

このTech Blogには専用のタグを作っているので、登壇以外のアウトプットを知りたい方は、ぜひこちらも合わせて確認ください。

goodpatch-tech.hatenablog.com

まとめ

長々と語りましたが、もちろん登壇はすべてではありません。
ですが、登壇を目標にすることが、自分のような嗜好を持った人にとっていかに有用であるかということが、少しでも伝わっていれば幸いです。

あと一個、補足するなら。ここまで登壇にこだわっていて、登壇には何の躊躇もない自分も、実は懇親会が苦手でして...笑
昔から一対一より大人数に対して話す方が緊張しないという、よくわからない性質を持っているがためなのですが、これから引き続き頑張って、一個でも多く登壇者としていろんな懇親会に参加しようと思うので、もしどこかでお会いした際は今後ともよろしくお願いします。


Goodpatchではデザイン好きなエンジニアの仲間を募集しています。 少しでもご興味を持たれた方は、ぜひ一度カジュアルにお話ししましょう!

*1:Call for Papers、公募式の登壇で提出する「こんな発表したいです!」と表明するもの。