はじめに
2024年3月に開催されたtry! Swift Tokyo 2024に参加したので、ひと足遅れてのレポートです。
本記事は、iOSエンジニアの田中と藤井(とうよう)との共作となっています。
try! Swift Tokyo とは?
try! Swift Tokyoは、Swiftを軸とした国際カンファレンスです。2016年の初回開催以来、年次開催されました。しかしコロナ禍の影響で2020年は中止、それ以降の開催は見送られ続けていましたが、とうとう今年、4年ぶりの復活開催となりました。
というわけで、筆者陣にとっては久々の国際カンファレンスへの参加、会場に到着するとその国際色あふれる熱気に圧倒されました。
トークの紹介
どのトークもユニークで興味深かったのですが、すべてを紹介するのは難しいので、印象的だったトークを抜粋して紹介します。
SwiftでvisionOSのアプリをつくろう
CyberAgentの SATOSHI さんによるトーク「Building Apps for visionOS with Swift」は、題名の通りvisionOSアプリ開発においての初歩から実用までの解説です。 ご自身で開発されたタイマーアプリの構築手順を、RealityView上に基本図形を配置するところから、シーン理解、モデルへのインタラクション、WorldAnchorの活用に至るまでステップ・バイ・ステップで紹介。最終的にはApple Vision Proを実際に用いたデモが披露されました。 私もvisionOSアプリの開発に片足を突っ込んでおり、SATOSHIさんが冒頭でおっしゃられた「visionOS開発をするときには必ずここに戻ってくる」という自負はまさにその通りだと思いました。バイブルとして参考にし続けたいと思っています。(紹介:田中)
塵も積もればアプリとなる
ふたつめは、Zamzam Farzamipooya さんの発表で、最近のXcodeの機能や、Swift/SwiftUIのAPIについて紹介されました。 Xcodeの新機能やショートカットは日頃の開発で生産性の向上につながるtipsとして価値ある情報でした。 SwiftUIに関しても、私がキャッチアップできていなかったり、体系的に把握できていない部分がありとても勉強になりました。(紹介:田中)
Enhancing Applications with Accessibility API
三つ目に紹介するのは、以前弊社のWWDC Recapイベントにも登壇いただいた kishikawa katsumi さんの「Enhancing Applications with Accessibility API」というトークです。 一見アクセシビリティに関する発表かな、と聞いていたのですが実は主題はそこではなく、アクセシビリティのAPIを使うことでmacOSアプリの文字情報や画像にアクセスし、生成AI活用に繋げるユーティリティアプリの作り方を紹介する内容でした。 実際にAppleのレビューに通るのかははっきり言えませんが、このように本来と違う目的のAPIをうまく使ってより便利な活用法を見出すというのがまさに「ハッカー精神」を感じてとても興味深かったです。(紹介:とうよう)
弊社に在籍するusagimaruさんも、本カンファレンスにおいてトップバッターで登壇されました。
良いアプリケーションをデザインするための感覚の持ち方
「良いアプリケーションデザイン」に根ざす感覚を、多岐多様な方向性から深ぼるトーク。Appleが発明した往年のインターフェイスの紹介を出発点に、Human Interface Guidelines の示すコンセプトと今昔の変遷、そこから生み出される「親しみやすい」デザインを紐解きました。加えて、その上に成り立つ独自的なUIを発明する精神性、文化を尊重しデザイン・実装する大切さを、具体例を交えながら解説されました。
会場の様子
素晴らしかった点
豪華なグッズの数々
今年もグッズが素晴らしかったです。とくに、参加者全員に配布された「あづま袋」は風呂敷の一種で、スポンサーグッズを収納する実用性も然ることながら、それ以上にとてもおしゃれでした。海外からの参加者にとっては、一生モノの思い出になったのではないのでしょうか。
スポンサーブースラリー
過去回に続き今回も、参加者がセッションの受動的聴講だけでなくインタラクティブにカンファレスを楽しめるよう、工夫が凝らされていました。
そのひとつであるスポンサーブースラリーは、各スポンサーブースを回るごとにステッカーをもらい、すべてのブースを回ると景品として、特別にデザインされたピンバッジを頂けるという仕組みです。これを口実にブースを巡回する心理的ハードルが下がったと個人的に感じており、例年以上にスポンサーの皆さまと活発な情報交換をすることができました。
オープンソースの公式アプリ
以前も一度リリースされていたことがあった公式のアプリが、今回もオープンソースでリリースされていました。 二日目にメインオーガナイザーである松舘さん(@d_date)から話があったのですが、このアプリは各年代の流行アーキテクチャのスナップショットにもなるという思想のもとTCAやSwiftUIが活用されて作られており技術的にも面白かったです。
弊社ではリリースされた直後社内のiOSエンジニア陣でアプリを触って、SFSafariViewControllerの操作感に違和感があることを発見したため、とうよう が修正案をPull Requestしました。
松舘さんには非常に丁寧なレビューをいただき、二日目のトピックとしても取り上げていただけました。 弊社はTCAへの知見が特に少なかったので、非常に勉強にもなりとてもいい経験となりました。
ワークショップにも参加してきました
三日目のワークショップは とうよう が「Apple Vision Proならでは!空間アプリ開発の始め方」に参加してきました。 弊社としてもApple Vision Proには非常に興味があり、iOSエンジニア全員がデベロッパラボに参加したり、社内LT会を開催したりもしていました。
ですが、これらはあくまでモバイルアプリエンジニアやモバイルアプリのデザイナーとしての知見が多く、XRのプロとして実際にアプリリリースまでされているMESONさんの知見をぜひ学びたいと思い、今回はこちらのワークショップを選びました。
実際参加してみたところ、下の画像のようにReality Composer Proで実際にシェーダーを作っていくハンズオンや、Unityと連携してSwiftのコードを書いていく方法など普段だとなかなか学べない観点が学べて非常に面白かったです。
ますます自分なりにApple Vision Pro向けのアプリを作りたい欲が高まりました。
ちなみに今回講師をされていたMESONさん出身のUXデザイナーが弊社にもおり、Apple Vision Pro発表直後にデザイナー観点での分析記事を出しているのでよければご覧ください。
さいごに
ここだけでは書き記せないほどに充実した3日間でした。
知見を発表くださる登壇者の方々はもちろんですが、レセプションに始まり、お弁当やレシーバーの配布回収、写真撮影、ネットワークなどなど、運営スタッフのみなさまが随所でカンファレンスを支えられていたからこそ、素晴らしい場が出来上がっていました。心から感謝です。
Goodpatchではデザイン好きなエンジニアの仲間を募集しています。 少しでもご興味を持たれた方は、ぜひ一度カジュアルにお話ししましょう!