
プロジェクトマネージャー(以下PM)のchakiです。
今日は「PM」の話です。
PM業務って、何を指しているんだろう
最近、社内でAI活用で利用するPMスキルを整理する取り組みをしていた。
その中で出てくるのは、
- 議事録を書く
- スケジュールを作る
- タスクを整理する
- 会議を調整する
といった業務だった。
もちろんどれもプロジェクトの中で発生する仕事だ。
でも整理しているうちに、ひとつ気になることが出てきた。
議事録を書くことはPMの仕事なのだろうか。
スケジュールを作ることはPMの仕事なのだろうか。
そもそもPM業務とは何なのだろうか。
わたし自身は「プロジェクトをゴール見据えて前に進める仕事だ」と思っている。
でも、それがしっくりこなかった。
なぜならメンバーは、みんな前に進めようとしているからだ。
UXデザイナーも。
UIデザイナーも。
エンジニアも。
では、「PMだけが提供している価値」とは何なのだろう。
そもそも「価値とは何か」から考え直してみることにした。
価値とは
その存在や行動によって何かが良くなること。
相手・組織・プロジェクトが、望ましい状態に近づくこと。
行動と価値を混同していた
- 議事録を書く
- スケジュールを作る
- タスクを整理する
これらは価値ではなく「行動」だ。
価値は議事録を書くことで生まれる「良くなる状態」のこと。
まとめてみるとこういう感じ。
| PM業務名 | 行動 | 価値(成立させたい状態) |
|---|---|---|
| 議事録 | 議事録を書く | 認識ズレを防ぎ、手戻りが起こらない |
| スケジュール管理 | スケジュールを作成する | 制約の中でもプロジェクトが成立する |
| タスク管理 | タスクを整理する | 責任・優先順位が曖昧にならない |
行動と価値を混同せずに整理してみたが、これ本当にあっているだろうか。。
なぜなら、タスク整理やスケジュール管理は、PMだけがやっていることではない。
それぞれの職種でプロセスやスケジュールを作成し、タスク管理する。
会議にPMがいなくても、メンバーは議事録を残す。
もし同じ行動を他職種もやっているなら、PMとの違いは何なのだろう。
そこで、職種ごとに整理してみた。
同じ行動でも、職種によって価値が変わる
| 職種 | 行動 | 価値(成立させたい状態) |
|---|---|---|
| UXデザイナー | ユーザーインタビューをする | 本当に解くべき課題が明確になっている |
| UXデザイナー | 議事録を書く | チーム内でインタビュー内容のコンセンサスが取れている |
| UXデザイナー | タスク整理を行う | UXプロセスが詰まらず進められる |
| UIデザイナー | UIを設計する | 迷わず操作できる |
| UIデザイナー | 議事録を書く | 修正意図・レビュー観点が正しく伝わる |
| UIデザイナー | タスク整理を行う | デザイン作業が詰まらず進められる |
| エンジニア | コードを書く | 安定して動作する |
| エンジニア | 議事録を書く | 実装内容が相手に正しく伝わっている |
| エンジニア | タスク整理を行う | 開発が詰まらず進められる |
| PM | 議事録を書く | 認識ズレを防ぎ、手戻りが起こらない |
| PM | タスク整理を行う | 責任・優先順位が曖昧にならない |
| PM | 会議設計・ファシリテーションを行う | 必要な意思決定が行われる |
| PM | 領域横断の調整を行う | 抜けを起こさず、専門性同士が噛み合いながら進められる |
整理してみて一番面白かったのは、
PMだけが特別な行動をしているわけではなかったことだ。
例えばタスク整理。
- UXデザイナー → 「UXプロセスが詰まらず進められる」
- PM → 「責任・優先順位が曖昧にならない」
タスク整理も、スケジュール管理も、議事録も、PMだけがやっているわけではない。
UXデザイナーもやる。UIデザイナーもやる。エンジニアもやる。
違ったのは行動ではなかった。
その行動によって、「何を成立させるか」だった。
この整理をしていて、野球部のマネージャーを思い出した。
野球部のマネージャーの行動は、
- 練習試合を調整する
- 連絡を回す
- 必要な準備をする
など。
この行動だけを見ると、どれも雑務に見える。
でも、その行動を単なる作業としてやるのか、
チームが強くなるためにやるのかで意味は大きく変わる。
- チーム攻撃力を強化するために、守備力の強いチームと練習試合を調整する。
- 1人1人のコンディションを確認するため、連絡を回す。
- きれいな環境から始めることでモチベーションを高めるために、必要な準備する。
今回整理したPM業務も同じだった。
議事録を書くことが価値なのではない。
スケジュールを引くことが価値なのでもない。
その先にある「何かを成立させること」に価値がある。
PMが作っているのは「成立価値」
整理していく中で、PMが関わる価値には大きく2種類あるように思えた。
1. PMが直接作る価値(成立価値)
- 認識ズレで手戻りや遅延が発生しないようにする
- 意思決定が滞らないようにする
- ステークホルダーが必要な情報に、必要なタイミングでアクセスできるようにする
- 制約(費用や時間など)の中でも破綻しないようにする
2. PMが支える、直接は作らない価値(成果価値)
- ユーザーが迷わない体験を提供をする (例:UX/UI品質)
- 安定して利用できるプロダクトを提供する (例:開発品質・リリース実施)
- プロダクトが継続的に改善・成長し続ける (例:改善サイクルの提供)
- 事業の成果が生まれ、利益が得られる (例:売上・利用率・継続率)
成果価値はPMが単独で作るものではない。
デザイナーやエンジニアや事業側のメンバーと一緒に生み出される価値だ。
PMは直接UXを設計するわけでもない。
コードを書くわけでもない。
事業戦略を実行するわけでもない。
それでも、成果価値が生まれるための土台を整えている。
PMは成果価値を生み出す人というより、成果価値が破綻せず成立する条件を作る人といえる。
AI時代に変わるのは、価値ではなく行動かもしれない
PMの価値が「認識ズレで手戻りや遅延が発生しないようにする」としたら、
AI時代に変わるのは行動の方だ。
| 価値(成立させたい状態) | 今までの行動 | AI時代の行動(例) |
|---|---|---|
| 認識ズレで手戻りや遅延が発生しないようにする | 議事録を書く 成果物粒度をすり合わせる |
成果物をNotionを展開し、認識のズレを可視化する |
| 意思決定が滞らないようにする | 会議を設計する RACIを整理する |
意思決定者用の窓口をつくり、内容確認・承認をする。 不明点はチャットできくと会議ログからまとめてくれる |
| ステークホルダーが必要な情報に、 必要なタイミングでアクセスできるようにする |
案件情報INDEX タスク整理 |
案件情報INDEXと中身をAIが自動生成する |
| 制約(費用や時間など)の中でも破綻しないようにする | スケジュールを作る リスク管理表を作る |
AIがリスク検知して、通知を行う |
行動は、これからどんどんAIが担うようになる。
でも、
- 何を成立させるべきか。
- どこで止まりそうなのか。
- 何が破綻しそうなのか。
- 誰の認識が揃っていないのか。
そうした問いは残り続ける。
AI時代になっても、PMの価値そのものが消えるわけではない。
むしろ、行動と価値が切り離されることで、
PMが本当に提供しているものが見えやすくなるのかもしれない。
今回「PM業務とは何か」を考えていたはずなのに、
最後に見えてきたのは、「PMは何を成立させようとしているのか」という問いだった。
PMの価値とは、
成果価値が破綻せず生まれるための状態を作ること。
今回の整理は、そんな当たり前のようで言語化できていなかった価値を、
自分自身が見つめ直すきっかけになった。
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