若手エンジニア二人で新卒の全職種向けエンジニアリング研修をリデザインした話 実施編

エンジニアの鈴木(@zookeeper08)と藤井(@touyou_dev)です。今回は新卒3年目と2年目となる私たち2人が、今年入社した新卒向けに全職種向けエンジニアリング研修をリデザインした話について、前編・後編の二部にわたって紹介します。

後編となるこの記事では、研修を実際に実施した様子や、その際に工夫したこと・新卒の声などをご紹介します。

前編はこちら👇
若手エンジニア二人で新卒の全職種向けエンジニアリング研修をリデザインした話 設計編

前編の振り返り

まずは前編の振り返りから。今までのエンジニアリング研修に対する違和感を言語化した上で、グッドパッチにとっては切っても切り離せないデザインとエンジニアリングの連携という観点から調査を行い、それらをもとに研修を再設計しました。 設計を通して、何を学んでもらうかに対しては以下のような目標をたてました。

開発案件に必要な観点を学び、スムーズに開発案件に入れるようになる
研修で達成したい理想の状態

大きくは仕様、そしてテストという二つの観点を学んでもらうという研修にし、学んでもらうことは一つずつつながっていくように意識しながら、結果として次のようなスケジュールをたてました。

研修のタイムスケジュール
研修のタイムスケジュール

実施の様子と意識したこと

研修自体は予定通り5/9から4日間で行われました。場所はグッドパッチ本社。普段名古屋に勤務するスタジオディテイルズの新卒3人も今回は東京に来てもらい、全員がオフラインに集うかたちでの開催となりました。

アイスブレイクワーク解説中の写真
アイスブレイクワーク解説中の風景。実際に新卒の回答を引用しながら解説しました。

ここまでの一ヶ月間、グッドパッチとスタジオディテイルズの新卒は共に研修を進めてきたもののオフラインで全員が集まるのはこれで二回目。最初は同じ会社内のメンバーのみで話してることが多く、若干緊張の様子もうかがえましたが意図的にチームをシャッフルすることで次第に全員が打ち解けていきました。

そんな4日間の研修でしたが、実施の際以下の観点を意識しました。

  1. はじめて実施する研修であることは伝え、積極的にフィードバックをもらいにいく
  2. スケジュールは様子を見ながら柔軟に動かしていく
  3. お互い思い付いたいいことは積極的にやっていく

少し深ぼって紹介します。

1. はじめて実施する研修であることは伝え、積極的にフィードバックをもらいにいく

今回名前を変えるほど研修をリデザインしたということもあり、事前にデモとして自分達以外の人に体験してもらう時間を確保できませんでした。制作過程でスライドや伝える内容を先輩方や同期に相談するということはあったものの、ワークなどの実施は言ってみればぶっつけ本番です。そのため、必ず役に立つことは強調しつつも、はじめて実施する研修であることを最初の段階で伝えて期待値を揃えました。

とはいえ、この研修が単にうまくいった・うまくいかなかった、で終わってしまっては勿体無いです。 今回設計した研修内容はこれから社会人となる新卒だけでなく既存メンバーにとっても改めて学んでおくべき観点を詰め込むことを意識していました。そして、これをベースに今後の新卒研修はもちろんのこと、例えば中途向けにも展開していけるコンテンツになれば理想だなというイメージがありました。

そういった理想状態を達成するには、参加者からのフィードバックを獲得することが非常に大切です。 フィードバックをもらう設計としてはアンケートを主軸に考えました。ただ全てのコンテンツに対して比較対象や代案があるわけではないので、定量的な評価はあまり適さないのではないかと考えました。またこれは藤井が普段から感じていたことだったのですが、どうしても五段階評価といったようなものは答える側の特性によって回答がブレてしまい、また答える側の心理的負荷も高い手段になってしまうのではないかという懸念がありました。

ではどうするのか?今回欲しい情報はより具体的な改善点です。そこで全研修プログラムに対して良い点と良くなかった点を実施当日に全て自由記述でとることにしました。また二人で話し合った結果、研修で疲れている新卒に負担なく、より新鮮な声を、そして何より率直な意見をもらうために任意・匿名という形式にしました。こうすることでここまでに書いてきた懸念をなるべく回避しつつ、フィードバックだけでなく新卒メンバーが自分の振り返り手段としても活用できることを狙っています。

またアンケートとは別でこまめにその場で感想を言ってもらうということも行いました。これはその時点で新卒メンバーがどの程度理解しているのかを確認するのにも役立ちました。

2. スケジュールは様子を見ながら柔軟に動かしていく

研修内のワークは初めてやるものばかりです。実際自分たちでやった時の時間見積もりは出来るものの、新卒メンバーのスキル感でどの程度の時間がかかるのかは予想ができませんでした。そのため、時間は大枠で決めつつもその場その場で様子を見て柔軟に時間を動かせるようにしておくということを意識しました。 スケジュールが19時ではなく必ず18時に終わっていた理由の一つとしても、ここの考えがありました(※19時定時)。こうすることによって、最適な時間をそれぞれで模索しながら進めることができましたし、個々人の振り返る時間をしっかりと確保できるというメリットもありました。

新卒メンバーが内容の濃い振り返りを日報に書いてくれたおかげで、それを見た社内メンバーから研修を受けてみたいという声をもらうという思わぬ嬉しい出来事もありました。

3. 良さそうなことを思い付いたら積極的にやっていく

最後の観点は意識というか、やって当たり前として受け入れている側面が強いのですが、事前に話すことなく研修がより良いものになりそうなことを考え自然と実施していました。 今回やっていたことは例えば以下のようなものです。

  • ワークの解説に、ワークのアウトプットを引用して具体例として使うようにする
  • 片方が講義している間に、もう一方が参考URLを即Slack投稿する
  • アンケートや資料などのリンクをすぐに送れるように準備しておく
  • 発表のサマリをSlack投稿する

これらをなんで思いついたかというと、正直よくわからないんですが(社内では二人が大学時代に同じ教育系のインターンをしていたからということにしてます笑)、このように思いついたことをどんどんやっていくことでより研修に集中出来る環境作りが出来たのかなと思っています。 実際研修最終日の日報で、新卒の一人がこういった取り組みがとても良かったと書いてくれました。

日報の抜粋
評価してもらった日報の抜粋

やってみた結果

各研修それぞれ書こうと思えばいくらでも書けるのですが、長くなってしまうので実施編の最後としてはアンケートの結果なども含めて全体の振り返りを紹介して終わりたいと思います。

まず大前提として、今回の研修はかなり成功したのではないかというのが一番の所感です。最終日の夕会で数人に全体の感想を聞いたのですが、褒めてくれたのはもちろんのこと(これだけだとお世辞の可能性もある)しっかりこちら側が伝えたいと思っていたポイントを自分たちの言葉で言語化して言ってくれました。やはり研修は理解してほしいことを理解してもらう、そして最終的に実際の仕事の中で活かしてもらうというのが一番の理想なので、この結果がまさに成功の証になっているのではないかなと思っています。

改善点はというと、かなり具体的個別なものが多かった印象です。特に多かったのは回答例がもう少し欲しかったという声でした。ここは時間の都合と、必ずしも正解がない分野であるということを強調したい想いに少し引っ張られすぎたところがあったと反省しています。ここは今回の新卒のみんなのアウトプットをベースにするなど、うまく活用しながら改善していけるとよいなと考えています。 またそれとは別方向のアイデアとして、ワークの発表が終わったのち全チームのアウトプットのいいとこ取り+改善で理想系を作ってみるというワークをやってみたいという声がありました。これは今までありそうでなかった方法だと思うのでワークの進め方のアイデアとして取り入れてみたいなと思っています。

終わりに

ここまで前編・後編を通して、今年度のグッドパッチ新卒開発案件研修についてご紹介してきました。 正直なところ会社の文化をつくっていく新卒の研修を、入社二年目と三年目という立場で任されるのは責任として少し重く感じることもありましたが、最終的にはこの二人でやれてよかったのかなと思います。社会人としてもまだ日が浅く、新卒のメンバーと近い視点があるからこそ反映できた部分も多いと思いますし、今回のようにまっさらな状態で改めてリデザインするという判断に至ることができたのもこの立場だったからこそかなと思います。 また研修の資料作りなどを通して自分達の勉強にもなりました。よく言われる教えることが一番学びになるというやつです。

とはいえこの記事にも書かれているように、この研修はまだ実施一回目、バージョン1.0です。ここからフィードバックを取り入れ、設計段階で取り入れられなかったことをどのように反映していけるのか、それを進めてこそ本当の意味での完成だと思います。 改善という役割をどこまで自分たちが担っていくかは未定ですが、これをベースにしてより良い研修が実施されることで、開発案件でのより良い成果、さらにはデザインの力の証明につながっていけばと思っています。


グッドパッチではデザイン好きな仲間を募集しています。 少しでもご興味を持たれた方は、ぜひ一度カジュアルにお話ししましょう!